「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)を踏まえ、出入 国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「法」という。)第2条の4第1項 の規定に基づき、法第2条の3第1項の規定に基づき定められた「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)にのっとって、宿泊 分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(以下「運用方針」という。)を定める。
1 人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)
宿泊分野
2 特定産業分野における人材の不足の状況(当該産業上の分野において人材が不足している地域の状況を含む。)に関する事項
(1)特定技能外国人受入れの趣旨・目的
宿泊分野において深刻化する人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした 業務に即戦力として従事する外国人を受け入れることで、本分野の存続・発展を図り、もって我が国の経済・社会基盤の持続可能性を維持する。
(2)生産性向上や国内人材確保のための取組等
宿泊分野では、生産性の向上や国内人材の確保の取組として、業務効率化、IT 化・機械化や、女性・高齢者・若者の就業促進に取り組んでいる。
(生産性向上のための取組)
宿泊分野では、マルチタスク化の推進、スタッフの技能向上を促すとともに、その習得状況を情報共有するためのスキルマップの作成、ITを活用した問合せへの自動応答や宿泊者情報の共有による業務効率化等に取り組んでいる。また、全国の旅館・ホテルの幹部層を対象としたワークショップやセミナー等を開催し、好事例 を全国へ展開することにより、これらの取組の普及拡大を進めている。
これらの取組により、過去5年間の年平均生産性向上率は 2.8 %と、全産業平均 (1.7 %)を大きく上回る状況となっている。
(国内人材確保のための取組)
宿泊分野では、女性のキャリアアップを促進する教育研修制度の確立や高齢者が 働きやすい勤務体系の導入、シニアスタッフが担当する新入社員をサポートするメ ンター制度の導入等を進めているほか、休館日の導入、有給休暇完全消化の徹底等の労働環境の改善に取り組んでいる。また、宿泊分野における女性・シニアの活躍 事例を調査し、その好事例をオンライン講座やセミナーを通じて広く発信すること により、これらの取組の普及拡大を進めている。
(3)受入れの必要性(人手不足の状況を判断するための客観的指標を含む。)
平成 29 年の訪日外国人旅行者数は 2,869 万人であり、これは平成 24 年と比較すると約 3.4 倍の増加となっている。さらに、今後「明日の日本を支える観光ビジョ ン」における訪日外国人旅行者数の政府目標(2020 年 4,000 万人、2030 年 6,000 万 人)の達成に向けた宿泊需要に対応するためには、これを支える宿泊分野の人材確 保が必要不可欠である。また、観光を地方創生につなげていくためには、3大都市 圏以外の地方部への外国人旅行者の訪問を増大させる必要があるが、その延べ宿泊 者数は、最近5年間で大都市圏では約 2.2 倍、地方部では約 2.8 倍の増加となっており、全国にわたって、宿泊需要の増大への対応が必要となっている。
他方、宿泊分野に係る職業の有効求人倍率(平成 29 年度)は全国で 6.15 倍であり、また、宿泊業、飲食サービス業の欠員率(平成 29 年)は全国で 5.4 %となって おり、宿泊分野では、現時点で既に約3万人の人手不足が生じているものと推計し ているが、さらに、今後の訪日外国人旅行者の増加等に伴い、5年後(平成 35 年) までに全国で 10 万人程度の人手不足が生じると見込んでいる。
以上のような状況に対応するため、宿泊分野において、一定の専門性・技能を有し、その能力を用いたフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の様々な業務に従事する外国人を受け入れることにより、宿泊分野の深刻な人手不足の解決に繋げることが、当該分野の基盤を維持し、今後も発展させていくために必要 不可欠である。
(4)受入れ見込数
宿泊分野における向こう5年間の受入れ見込数は、最大2万 2,000 人であり、これを向こう5年間の受入れの上限として運用する。
向こう5年間で 10 万人程度の人手不足が見込まれる中、今般の受入れは、毎年 2.8 %程度の生産性向上を図るとともに、国内人材の確保のための取組を進めることにより、労働効率化(5年間で5万人程度)及び追加的な国内人材の確保(5年間で 3万人程度)を行ってもなお不足すると見込まれる数を上限として受け入れるものであり、過大な受入れ数とはなっていない。
3 特定産業分野において求められる人材の基準に関する事項
宿泊分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、以下に定める試 験に合格した者とする。
(1)技能水準(試験区分)
「宿泊業技能測定試験(仮称)」
(2)日本語能力水準
「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」
4 法第7条の2第3項及び第4項(これらの規定を同条第5項において準用する場合を含む。)の規定による同条第1項に規定する在留資格認定証明書の交付の停止の措置又は交付の再開の措置に関する事項
(1)国土交通大臣は、有効求人倍率等の公的統計等の客観的指標等を踏まえ、人手不 足の状況の変化に応じて運用方針の見直しの検討・発議等の所要の対応を行うとともに、上記2(4)に掲げた向こう5年間の受入れ見込数を超えることが見込まれる場合には、法務大臣に対し、受入れの停止の措置を求める。
(2)受入れの停止の措置を講じた場合において、当該受入れ分野において再び人材の確保を図る必要性が生じた場合には、国土交通大臣は、法務大臣に対し、受入れの 再開の措置を求める。
5 その他特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項
(1)1号特定技能外国人が従事する業務
宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊 サービスの提供に係る業務
(2)特定技能所属機関に対して特に課す条件
ア 宿泊分野においては、1号特定技能外国人が従事する業務内容を踏まえ、旅館・ ホテル営業の形態とするとともに、以下の条件を満たすものとする。
(ア)旅館業法(昭和 23 年法律第 138 号)第2条第2項に規定する「旅館・ホテ ル営業」の許可を受けた者であること。
(イ)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号。以下「風俗営業法」という。)第2条第6項第4号に規定する「施設」に 該当しないこと。
(ウ)特定技能外国人に対して風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと。
イ 特定技能所属機関は、国土交通省が設置する「宿泊分野における外国人材受入協議会(仮称)」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
ウ 特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
エ 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。
オ 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委 託するに当たっては、上記イ、ウ及びエの条件を全て満たす登録支援機関に委託 すること。
(3)特定技能外国人の雇用形態
直接雇用に限る。
(4)治安への影響を踏まえて講じる措置
国土交通省は、基本方針を踏まえつつ、所掌事務を通じて治安上の問題となり得る事項を把握するために必要な措置を講じるとともに、把握した事項について制度 関係機関と適切に共有する。
また、深刻な治安上の影響が生じるおそれがあると認める場合には、基本方針を踏まえつつ、国土交通省及び制度関係機関において、共同して所要の検討を行い、運用方針の変更を含め、必要な措置を講じる。
(5)特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することと ならないようにするために必要な措置
自治体における一元的な相談窓口の設置、ハローワークによる地域の就職支援等 を着実に進める等の業種横断的な措置・方策に加え、国土交通省は、地域における 人手不足の状況について、協議会等の場を活用して、地域別の有効求人倍率及び欠 員率や業界団体を通じた調査等により定期的な把握を行うとともに、関係省庁や宿 泊業界と連携して、本制度の趣旨や優良事例を全国的に周知し、各地域の宿泊施設 による生活支援の充実を促すことや、地域の宿泊施設から送出し国に対し、地域の 魅力や受入れ環境についての情報発信を促すことを含め、必要な措置を講じること により、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう図っていく。
【外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議 】 ← 詳しくはこちらをご覧ください。
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また、今年4月から新しい在留資格「特定技能1号・2号」が創設されます。まだ詳しい内容についてしっかりとは定まっていませんが、お問い合わせやご予約も承っております。