1号特定技能外国人支援計画の内容等(生活オリエンテーションの実施)|名古屋市 就労ビザ専門の行政書士木下法務事務所
特定技能1号の外国人を雇用する場合、特定技能所属機関(雇用する企業等)は1号特定技能外国人支援計画を策定しなければなりません。前回(生活に必要な契約に係る支援)に引き続き何度かに分け、1号特定技能外国人支援計画の内容等を記述していきます。今回は「生活オリエンテーションの実施 」について記述します。
〔義務的支援〕
□特定技能所属機関等において1号特定技能外国人が本邦に入国した後(又は 在留資格の変更許可を受けた後)に行う情報の提供(以下「生活オリエンテーショ ン」という。)については,当該外国人が本邦における職業生活,日常生活及び社 会生活を安定的かつ円滑に行えるようにするため,入国後(又は在留資格の変更 後),遅滞なく実施する必要があります。
□生活オリエンテーションは,1号特定技能外国人が十分に理解することができる 言語により実施することが求められます。
□生活オリエンテーションは,1号特定技能外国人が十分に理解できるまで行う必 要があり,個別の事情により異なりますが,少なくとも8時間以上行うことが求められ ます。
【留意事項】
□生活オリエンテーションを実施した場合は,生活オリエンテーションの確認書(参考様式 第5-8号)を1号特定技能外国人に示して確認の上,署名を得て記録しておく必要があ ります。
□生活オリエンテーションで提供する本邦での生活一般に関する事項,防災及び防犯に 関する事項並びに急病その他の緊急時における対応に必要な事項その他の事項に係る 情報は,必要に応じ,後記(9)の1号特定技能外国人との定期的な面談において改めて 提供することが求められます。
□生活オリエンテーションで情報提供する際の参考として,外国人の安全・安心のために 必要な基礎的情報が掲載されたポータルサイトやガイドブック(「外国人材の受入れ・共生 のための総合的対応策」を受けて作成されたもの)を参照してください。
◇情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。
① 金融機関の利用方法
□金融機関における入出金・振込等の方法,利用可能な時間,ATMの使い方, 手数料等
□出国する場合など,自己名義の銀行口座が不要となるときは,口座を閉鎖す る手続を行うこと,ただし,将来再び入国するときのために口座を継続して利用 する希望がある場合には,出国前に銀行に相談すること
②医療機関の利用方法等
□利用可能な医療機関(症状別),医療機関での受診方法,保険証を持参す ること等
□アレルギー・宗教上の理由により治療に制限がある場合は,医療機関にその 旨を説明すること
③交通ルール等
□歩行者は右側通行,車両は左側通行・歩行者優先であること,自転車損害 賠償責任保険等
□自動車,バイク等を運転する場合は運転免許が必要であること(必要に応じ て,運転免許の取得方法)
④ 交通機関の利用方法等
□就労・生活する地域の公共交通機関(通勤に適な公共交通機関)及びそ の利用方法
□勤務先までの経路及び所要時間
□通勤定期又は切符の購入・利用方法
□ICカードの購入・利用方法等
⑤生活ルール・マナー
□就労・生活する地域におけるゴミの廃棄方法等(分別・出し方,収集日,粗大ゴミの捨て方等)
□夜中に大声で騒いだり騒音を出したりするなど,近隣住民の迷惑になる行為 は控えること
□喫煙には一定の制限があること(喫煙,禁煙場所等)
⑥生活必需品等の購入方法等
□就労・生活する地域のスーパーマーケット,コンビニエンスストア,ドラッグスト ア,家電量販店等の所在地等
⑦気象情報や災害時に行政等から提供される災害情報の入手方法等
□気象情報・災害情報に関するホームページ,アプリ,出身国別の外国人向け のコミュニティサイト等
⑧我が国で違法となる行為の例
□原則として,銃砲刀剣類の所持が禁止されていること
□大麻,覚せい剤等違法薬物の所持等は犯罪であること
□在留カードの不携帯は犯罪であること
□在留カード,健康保険証等を貸し借りすることは禁止されていること
□自己名義の銀行口座・預貯金通帳・キャッシュカード・携帯電話を他人に譲 渡することは犯罪であること
□ATMで他人名義の口座から無断で現金を引き出すことは犯罪であること
□他人になりすまして,配達伝票に署名したり,他人の宅配便を受領することは 犯罪であること
□放置されている他人の自転車等を使用することは犯罪であること 等
◇情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。
①所属機関等に関する届出(入管法第19条の16関係)
特定技能所属機関の名称又は所在地の変更,その消滅,特定技能所属機 関との契約の終了又は新たな契約の締結
② 住居地に関する届出(入管法第19条の7から第19条の9まで)
新規上陸後の住居地届出,在留資格変更等に伴う住居地の届出,住居地の 変更届出
③社会保障及び税に関する手続
ア 社会保障に関する手続
※ 未納がある場合には在留諸申請が不許可になる場合がある(在留期間更 新及び在留資格変更の申請において保険料の納付状況を確認する)こと
□健康保険及び厚生年金保険に関する手続・制度(保険料が給与から天引き されること)
(注)特定技能所属機関が適用事業所の場合(法人事業所,常時5人以上 の従業員を使用する個人経営の事業所(農林漁業,サービス業等の事 業所は除く。))
□国民健康保険及び国民年金に関する手続(外国人自身が手続を行う必要 があること)
(注)特定技能所属機関が適用事業所以外の場合又は当該外国人が適用 事業所を離職する場合
イ 税に関する手続
※ 未納がある場合には在留諸申請が不許可になる場合がある(在留期間更 新及び在留資格変更の申請において税の納付状況を確認する)こと
□源泉徴収・特別徴収制度(所得税・住民税は,原則として給与から天引きさ れること)
□住民税納付の仕組み(前年の給与所得がない場合は入社2年目の年から納 税が始まり,原則として離職後の翌年まで納税義務があること,離職後の納税 については一括納税や納税管理人制度の利用も可能であること,転職により 離職する場合には,転職先において,引き続き,未納税額を給与から天引き することも可能であること)
ウ その他 ・ 個人番号(マイナンバー)制度の仕組み(マイナンバーは日本国内での社会 保障・税・災害対策の分野で利用されるものであること,住所地で住民票が作 成された後,マイナンバーを通知するカード(通知カード(紙製))が自宅に郵送 されること,マイナンバーカード(写真付きICカード)が申請により取得できること, マイナンバーカードは市町村によってはコンビニエンスストアで住民票の写し等 の証明書を取得できるなど,各種サービスに利用できること)
④その他の行政手続 ・ 自転車防犯登録の方法等(店頭又はインターネットで購入した場合や他人等 から譲り受けた場合の登録方法,盗難又は撤去された場合の対応)
◇1号特定技能外国人が,これらの届出・手続を履行するに当たっては,必要に応 じ,特定技能所属機関等が当該届出・手続を行う関係行政機関の窓口へ同行し, 書類作成の補助をするなどの必要な支援を行わなければなりません(特に,国民 健康保険及び国民年金に関しては,外国人自身が手続を行う必要があることから, 手続を円滑かつ適切に進めるために同行することが望ましい。)。
◇情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。
①特定技能所属機関又は当該機関から契約により1号特定技能外国人支援の 実施の委託を受けた登録支援機関その他の者において相談又は苦情の申出に 対応することとされている者の連絡先として次の事項
□支援担当者の氏名
□支援担当者の電話番号,メールアドレス等
②相談又は苦情の申出をすることができる国又は地方公共団体の機関の連絡先 として次の事項
□地方出入国在留管理局(入国・在留に関する相談)
□労働基準監督署(残業代を含む賃金の未払やその他労働条件に関する事項 (労働時間,休暇など),仕事中にけがをしたときなど労働に関する相談)
□ハローワーク(失業等給付の受給手続に関する相談,職業相談)
□法務局・地方法務局(差別,いじめ等人権に関する問題の相談)
□警察署(犯罪被害相談や交通事故事件相談等)
□寄りの市区町村(住民税,国民健康保険,国民年金や行政サービスに関す る相談)
□弁護士会,日本司法支援センター(法テラス)(民事や刑事などの様々な法的 なトラブルが生じた場合の相談)
□大使館・領事館(パスポートの棄損・紛失等)等
◇情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。
□通訳人が配置されている又はインターネットや電話による医療機関向け通訳サー ビスが導入されているなど,外国人患者の受入れ体制が整備されている病院の名 称,所在地及び連絡先
□医療に関する支援の一環として,予期せぬ病気やけがの際に,高額な医療費の 支払に不安を感じることなく,安心して医療サービスを受けることができるよう,医療 通訳雇入費用等をカバーする民間医療保険への加入案内
◇情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。
□トラブル対応や身を守るための方策(地震・津波・台風等の自然災害,事件・事 故等への備え,火災の予防(たばこの不始末,コンロ・ストーブの取扱い,消火器 の使い方))
□緊急時の連絡先・場所,警察・消防・海上保安庁等への通報・連絡の方法 (110 番・119 番・118 番,大使館・領事館,寄りの警察署・交番,救急医療機 関への連絡方法)
□気象情報・避難指示・避難勧告等の把握方法,災害時の避難場所
◇情報提供しなければならない事項は,次のとおりです。
□入管法令(在留手続,みなし再入国制度,在留資格の取消し及び在留カードに 関する手続等)及び労働関係法令(労働契約,労働保険制度,休業補償制度, 労働安全衛生及び未払賃金に関する立替払制度)に関する知識
□入管法令に関する違反がある場合(資格外活動違反,不法就労者雇用等), その相談先(地方出入国在留管理局)及び連絡方法
□労働に関する法令違反がある場合(残業代を含む賃金の不払い,36協定を超 えた時間外・休日労働等),その相談先(労働基準監督署又は地方出入国在留 管理局)及び連絡方法
□特定技能雇用契約に反することがあった場合,その相談先(地方出入国在留 管理局又は労働基準監督署)及び連絡方法
□人権侵害があった場合,その相談先(法務局・地方法務局又は地方出入国在 留管理局)及び連絡方法
□年金の受給権に関する知識(老齢年金の受給資格期間は10年であることや, 一定の要件を満たした場合には障害年金や遺族年金等の受給権が得られること を含む。)及び脱退一時金制度に関する知識(脱退一時金を受給した場合,その 額の計算の基礎となった被保険者期間は,被保険者でなかったものとみなされる ことを含む。),それらの相談先(日本年金機構)及び連絡方法
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また、今年4月から新しい在留資格「特定技能」が創設されました。「特定技能」の申請や「登録支援機関」の登録申請も承っておりますので、こちらに関してもお気軽にお問い合わせください。
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